大学を卒業し、私が最初に就いた職業は証券会社の営業職でした。厳しい営業ノルマを達成できず、上司に怒られる日々が続きました。営業成績が悪いことへの苦痛は受け入れざるを得ないのですが、当時の上司と私は折り合いが悪く、本音のところでは上司との人間関係が一番つらかったように思います。結局2年で証券会社を退職しました。その後小さな専門学校に採用していただき、簿記の講師になりました。仕事時間は証券営業とは比べ物にならないほど長く、1日20時間以上働いたり、月に1日しか休日が無いこともしょっちゅうでした。令和の時代では考えられないかもしれませんね。
ハードな仕事で体は疲れているのですが、意外なことにつらいと思うことはほとんどありませんでしたし、むしろ仕事が楽しくてしょうがありませんでした。当時は「今まで習ったどの先生よりも鶴田先生の説明が分かりやすい」などと受講生に褒められることも多く、暇さえあれば授業の説明の順番や、受講生が講義に飽きてきたころに話す冗談まで事細かに考えていました。
また良い先輩にも恵まれました。夜中に「どうしても明日の授業の説明方法がイメージできないんです・・・」と電話をすると、「今からウチに来い!教えてやるから」と言っていただき、深夜に原付バイクで先輩の自宅に訪問し、午前3時、4時まで教えてもらうこともしょっちゅうでした。頼りになる先輩や優しい仲間に囲まれて働き、自分の仕事が誰かの役に立っていると考えると目の前のキツさなんて吹っ飛びました。
そんな経験の中から、「仕事が楽しいと感じるかどうかは、業務の内容や仕事キツさよりも、その仕事が誰の役に立ち、どんな人と一緒に働くかのウエイトが圧倒的に高い」ということに気づきました。
そして「自らの手でやりがいのある理想の職場を作ってみたい!」と思うようになりました。